禁じられたドキュメンタリー

アメリカの親イスラエルロビー


アラン・グレシュ(Alain Gresh)

オンラインメディア“Orient XXI"編集長


訳:村松恭平


 カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」によって行われた調査は、イスラエルを支持するアメリカのロビー団体が行っている、スパイや脅迫といった恐ろしい手法を暴いた。しかし、サウジアラビアとの対立の中でロビー団体を敵に回したくないカタールは、このドキュメンタリーの放送を凍結した。これを観ることができた筆者がその内容を明らかにした。[日本語版編集部]

(仏語版2018年9月号より)

© Nadia Jelassi. – « Vista lil 9albèn » (Retourner sa veste), 2010, Mixed media on chair, 47 x 78 cm

 画面の中で、彼はまさに完璧な紳士のようだ。ジェイムズ・アントニー・クラインフェルドはあらゆる点で優秀なユダヤ系イギリス人の若者で、あの名高いオックスフォード大学を卒業し、オランダ語とイディッシュ語を含む6カ国語を話し、近東における様々な紛争の深部に難なく入り込んでいく。学生のような見た目ではあるが、西側諸国の外務省や有名なシンクタンクの事務所において彼は容易に職を見つけるであろう。だが、彼には今のところ別の計画がある。それは、イスラエルを支持する様々なアメリカの組織への侵入だ。メディアにおけるイスラエルのイメージを守ることに努めている組織、“The Israel Project(TIP)”に彼は採用される。その多彩な能力を認められて歓迎された彼は、5カ月の間、イスラエルの絶対的防衛に取り組む様々な組織の責任者たち、中でもアメリカの強力な親イスラエルロビー団体「アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」のトップクラスと接触する(1)。カクテルパーティー、会議や集会、活動家養成コースにおいて、クラインフェルドは彼らと関係を結び、多くの人と親交を深めた。愛想が良く、熱心で、有能な彼は、交流した人たちからの信頼を獲得する。彼らはクラインフェルドに心を開いて語り、建前論や型にはまった決まり文句は使わない。そんな彼らの打ち明け話は、衝撃的な内容だった。

 どのように議会に影響を及ぼしているのか? ——「議会のメンバーは圧力をかけない限り、何もしない。唯一の方法はカネさ」。大学キャンパスにおいて、パレスチナ人の権利を擁護する活動家たちとどう戦っているのか? ——「反イスラエルの奴らに対する最も効果的な方法は、色々と奴らについて調べて、その情報を匿名のウェブサイトに載せて、フェイスブックのターゲット広告を使って拡散することだ」。クラインフェルドの話し相手たちは、友人に対して秘密を打ち明けていると信じているだけにいっそう無邪気になり、イスラエル戦略問題省の支援を受けてアメリカ市民のスパイ作戦に携わっていることを認める。

 2006年に創設されたイスラエル戦略問題省は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の直轄となっている。その責任者の一人がこう打ち明ける ——「私たちは他国の領土で活動している政府機関であり、非常に慎重でなければなりません」。まったくその通りだ。なぜなら、そうした活動の一部はアメリカの裁判所において有罪となる可能性があるからだ。

 「トニー」[クラインフェルドのこと]の研修が終わると、彼の仕事に非常に満足したTIPの上司のエリック・ギャラガー氏が、彼に雇用契約を提案する。「君には私のもとでぜひとも働いていただきたい。チームスピリットを持ち、猛烈に働き、熱心かつ好奇心に溢れ、しっかりと教育され、話すのが上手く、たくさんの本を読んできた者を私は必要としているんだ。君はまさにそうした人物だ」。しかし、彼の秘蔵っ子はその提案を拒否する。なぜなら、もうお分かりだろうが、たとえ「トニー」が持ついくつもの資格や能力が疑わしいものでないにしても、彼はみずから言うような人物ではないからだ —— 彼はスパイであり、親イスラエルロビーに関するドキュメンタリーを撮るために、カタールが所有するアルジャジーラから派遣されたのだ。収集した秘密の一部を彼は隠しカメラで撮影し、アルジャジーラ調査部のフィル・リース率いるチームの他のメンバーたちとともに、驚くべき調査のためのあらゆる材料を集めた。このドキュメンタリーの放送は心待ちにされていた。というのも、アルジャジーラが2017年にすでに放送したイギリスにおける親イスラエルロビー関するルポルタージュ(2)が、イスラエルの外国への内政干渉と、親パレスチナ派とみなされている大臣を失脚させるための企みを暴露していたからだ。その結果、在ロンドンのイスラエル大使は公の場で謝罪し、ある高い身分の外交官はテルアビブに慌ただしく帰還することになった。

 したがって、憤慨してその内容を否認したり、激しい論争が飛び交うようなメディア騒ぎを予想することができた。だが、そうはならなかった。2018年初頭に計画されていた放送が、公式の説明のないまま無期限延期とされたからだ。このドキュメンタリーが放送されないことは、アメリカのユダヤ系新聞による記事のおかげで(3)知られることになった。アルジャジーラ調査部部長のクレイトン・スウィッシャーは、この決定に不満を漏らしたある記事の中で、そのことを認めた。その数日後、アルジャジーラは彼がサバティカル休暇を取ると発表した(4)。この調査は、2017年6月以来敵対しているカタールvsサウジアラビア・UAEという構図で繰り広げられている、アメリカ政府からの信頼を勝ち取るための熾烈な戦いの中で犠牲となってしまった(5)。そして、この戦いに勝利するためには、強力な親イスラエルロビーの好意を得ること以上に優れた方法はないだろう。近東では、アメリカ政治に対する彼らの影響力の大きさは知られている。

 したがって、カタールはこの戦いで優位に立つために放送を「延期」させ、その代わりに、全体的にすでに非常に右翼的になったロビー団体の右翼の一部から思いがけない支援を得ている。ドナルド・トランプ大統領の元顧問のスティーブン・ バノン氏と近い関係にあるアメリカ・シオニスト機構(ZOA)の議長、モートン・クライン氏は、ドーハまで赴いてこのドキュメンタリーがお蔵入りになったことを喜んだ。ハマスとテロ活動に資金を提供しているとしてカタールをつい最近まで非難していたこうしたグループが、この調査の放送中止と引き換えに方針を一変させたことは、このドキュメンタリーが含む様々な新事実が彼らにとって厄介なものであるということを物語っている。

 一年以上に及んだ調査をこうしてお蔵入りさせたことは、アルジャジーラ局内で動揺を引き起こした。一部の人たちはこれらの新事実が地政学的妥協の流砂の中に沈んでしまわないよう願った。こうした理由から、私たちは湾岸地域に住む友人のおかげでこのドキュメンタリーの4つのエピソードを観ることができた。それぞれのエピソードの長さは50分で、ほぼ完成版だった。

 このドキュメンタリーを観て強く印象に残ったのは、ロビー団体が数年前から極度の興奮状態にあるということだ。それは、自分たちの影響力が失われることへの漠然とした恐怖のせいだった。アメリカではイスラエルへの支持は強く、共和党と民主党の議員たちがイスラエルの如何なる計画にも一貫した支援を与えている中で、この恐怖をどう説明すればよいだろうか? トランプ氏の大統領選出によって、イスラエル・アラブ間対立の仲介役を引き受けようとする意欲をアメリカ政府はすべて放棄し、イスラエル史上最も右翼である政府を堂々と支持するようになったのではなかろうか? きっとそうだろう。しかし、見たところイスラエルにとって有利なこの情勢でも、ある脅威がロビー団体につきまとっている。それは「ボイコット、資本の引揚げ、制裁(BDS)」という脅威だ。

 2005年に開始されたBDS運動は、アパルトヘイト下の南アフリカに対して効果を発揮した非暴力の方法を、イスラエルに対して実施することを狙いとしている。この運動はアメリカの大学キャンパスで飛躍的に発展した。だが、本当にそれを警戒しなければならないのだろうか、とデイヴィッド・ブログ氏は自問する。彼は「イスラエルのためのキリスト教徒連合(CUFI)」の戦略問題担当部長で、BDSに対抗しているグループの1つ“Maccabee Task Force”のエグゼクティブディレクターを務めている。「イスラエルは“スタートアップ国家”です。歴史上最も多くの投資を海外から受けています。ですので、一度落ち着いて、BDSは何の役にも立たないことを理解し、無視するのがよいでしょう」。彼はこう強調する。「これまでBDSは、大学に対してイスラエルへの投資をやめさせることを目的としたことはなかったと思います。資金に関しては私たちは不安を感じていません。しかし、イスラエルを愛する私たちと、今後を担う世代の間の溝を深めようとBDSが展開している運動については心配です。2000年以後に生まれた若者や学生たちの間では、その大半がイスラエル人よりもパレスチナ人のほうを支持するまでになっています」。大学内でBDSと戦うために100人以上を動員するグループ組織“Israel on Campus Coalition”のエグゼクティブディレクター、ジェイコブ・ベイム氏はこう懸念する。「国会のすべての議員、すべての大統領、すべての大使の間で唯一共通しているのは、彼らが大学キャンパスで一時期を過ごしたという事実です。そして、彼らの考えが形成されたのはこの時期なのです」。彼らは明日もまだ「イスラエルの友人」でいてくれるのだろうか?

 もう一つ別の要素が親イスラエルロビーを不安にさせている。これまでイスラエルへの支持は、民主党員と共和党員の間の溝を超えてきた。バラク・オバマ氏もそうだ。ネタニヤフ氏との関係が極めて悪かったにもかかわらず、彼は任期が終わる数カ月前に、10年間で380億ドル(330億ユーロ)ものイスラエルへの無条件支援を可決させたのだ。しかし政治情勢は変化し、ロビー団体がトランプ氏を全面的に支持したことによって彼らの支持基盤は狭まり、ついには徐々に共和党と福音主義右派に集中していった。The Tower Magazineの元編集長で“The Israel Project”の有力メンバーのデイヴィッド・ヘイゾニー氏がそのことをドキュメンタリーの中で認めている。「イスラエルのボイコットは当面問題ではありません。最も大きな問題は、民主党、バーニー・サンダーズの支持者、彼らが民主党内に呼び込んでいるあのすべての反イスラエル主義者たちです。“親イスラエル”はもう両党のコンセンサスではなくなるでしょう。そして、大統領が変わる毎にイスラエルに対する政策が変化する恐れがあります。これはイスラエルにとって危険です。大学キャンパスでの戦いにおいて重要なのはそこなのです」。ロビー団体に関する著名な書物(6)を共同執筆したジョン・ミアシャイマーもそれを認めており、彼はドキュメンタリーの中で頻繁にコメントしている。今ではイスラエルへの支持は共和党において強くなる一方、民主党では弱くなっていると彼は認める。「両党の間には大きな差があります」

 こうした変化をどう阻止するのだろうか? 政治的議論を始めることによって? それは困難だ。一方、1993年に署名されたオスロ合意の失敗以降、あらゆる外交的解決を拒む極右政党がイスラエルを率いている。パレスチナ人の境遇や入植地の未来、ガザの惨状について議論することなどできはしない。そして、ネタニヤフ氏とトランプ氏へのロビー団体の支持も、アメリカの学生たちの熱狂をかき立てそうもない。ジャーナリストのマックス・ブルーメンソール氏は、今回のアルジャジーラのドキュメンタリーに関して、ロビー団体が展開しているのは議論を拒否する戦略だと指摘した(ツイッター、2018年2月15日)—— 調査報道をスパイと同一視し、アルジャジーラを所有主であるカタールそのものとすることによってこのメディアに対する信頼を失わせ、このドキュメンタリーのテーマは「ユダヤ人ロビー」であって、イスラエルへの支持ではないと断言するといった戦略だ。こうして、様々な新事実の背景や、イスラエル政治に関するあらゆる議論が回避される。

 「イスラエルのための緊急委員会(ECI)」のエグゼクティブディレクター、ノア・ポラック氏は、批判に対する方針をこうまとめた。「メッセージの信用を失わせるには、メッセージを発する人物の信用を失わせなければならない。BDSについて言及する時は、それはヘイトおよび市民に対する暴力を賞賛するグループだと言わなければならない。つまり、彼らはテロリズムを支持しているのだ、と」。そしてもちろん、BDSは“反ユダヤ主義”だ、とも。「平和のためのユダヤ人の声(JVP)」については? ポラック氏はこの団体のことを「ハマスのためのユダヤ人の声」と呼びたがっている⋯⋯。だが、彼は楽観的なままだ。なぜなら、彼が「トニー」に説明しているように、アメリカ人の大半はイスラエルに好意的であり続けているからだ。一方、イギリスでは「[ユダヤ人に対する]純粋な憎しみがある。あなたたちは、あのクソなパキスタン人たちの半分がイギリスに定住するのを許してしまった」

 「メッセージを発する人物の信用を失わせる」には、その人物の私生活から仕事、政治信条まで、様々な情報を集めなければならない。親イスラエルロビーは近年スパイネットワークを確立した。「我々の調査作戦には最先端のテクノロジーが備わっている」とベイム氏は鼻にかける。「私が数年前に加わった時は、我々の予算は数千ドルだった。今日では150万、きっと200万ドルはあるだろう。いくらかさえ分からないほど巨額な予算だ」。しかし、彼と彼の友人たちは「見えない存在」のままでいたがっている。というのも、「我々は匿名かつ安全が確保された状態でこれを実行している。それが鍵だ」からだ。

 パレスチナ人の権利を求める活動家たちが最も恐れているグループに、カナリア・ミッションがある(7)。その資金調達方法、メンバー、活動内容は秘密のままだ。このロビー団体に近いあるジャーナリストがその役割について説明する。「カナリア・ミッションを憎んだり、あるいは彼らに狙われた人たちは、“ブラックリスト”の話をしています。リストには学生や大学教授、団体の名前が記載されており、テロリズムやユダヤ国家の破壊を呼びかけたテロリストと結び付けられています」。この団体のサイトにはその目的が要約されている ——「今日、過激派に属している人々を明日、あなたの会社が雇わないよう注意してください」。晒し台にかけられたそれぞれの被害者の経歴の上には、次のようなスローガンが書かれている ——「もしあなたが人種差別主義者ならば、世界中がそのことを知らなければならない」

 クラインフェルドは、カナリア・ミッションの創設者であり資金提供者でもあるアダム・ミルスタイン氏への接触にも成功した。イスラエル=アメリカ評議会(IAC)会長のミルスタイン氏は、2009年に脱税で懲役刑を宣告されたものの、独房内でも様々な活動を続けた。彼はこの若者にみずからの哲学を述べた ——「第一に、奴ら(パレスチナ支持の活動家たち)について調べ上げることだ。奴らの計画とは何か? それは、ユダヤ人を攻撃することだ。なぜならそれは簡単であり、流行っているからだ。我々は奴らの正体を暴かなければならない。すなわち、レイシストであり、民主主義に敵意を持つ人たちだ。奴らを守勢に立たせなければならない」

 何人もの学生が、みずからが被っているリスクについて証言する。ノックスビル(テネシー州)でパレスチナ人の権利を求める運動に参加したサマー・アワド氏は、ツイッター上でどのように執拗な攻撃を受けたか、彼女に関する10年以上も前の情報を「彼ら」がどのようにインターネット上に書き込んだかについて語る。「彼らはどんどん深く調べていくのです。誰かが私の雇用主に接触し、私を解雇するよう求めました。もしそれに従わなければ、“反ユダヤ主義者”として告発すると脅したのです」。こうした告発のメソッドは社会人であればその職業キャリアを潰したり、学生にとっては、学校の課程が修了した後の就職活動を難しくすることもありうる。したがって、告発された者たちの何人かはブラックリストから名前を消去してもらう代わりに、カナリア・ミッションのサイトの特別欄に掲載される「後悔のメッセージ」を送った(8)。それは匿名による告白で、彼らはそこで自分が「騙された」のだと語る。その告白は、1950年代のアメリカのマッカーシズムの時代において、共産主義シンパと疑われた者たちが強要された告白に似ている。あるいは、今日における独裁政権の国々でもそうしたことは行われている。「これは心理戦争だ。やつらは恐怖に怯えている」とベイム氏は喜ぶ。「奴らは黙るか、(自分に向けられた中傷について)調べるために時間をかけるかどちらかで、イスラエルを攻撃できない。非常に効果的だ」。しかし、「トニー」が話した別の相手は、「誰かを“反ユダヤ主義者”と呼んで中傷することは、もう以前と同じような効果はない」と残念がる。

 アメリカ市民の個人データ収集に基づくこれらの運動は、イスラエル戦略問題省からの資金提供がなければ不可能だろう。その局長であるシマ・ヴァクニン=ジル氏は、イスラエル=アメリカ評議会の会議でそのことを認めた。「データ収集、情報分析、活動家組織と資金の流れに関する調査に関しては、財源を持った国しかうまく行うことはできません」。彼女はこう付け加える。「イスラエル政府が中心的なプレーヤーとなると決断したことには重要な意味があります。なぜなら私たちは、こうした問題に取り組むNGOが保有していないような手段を提供できるからです。私たちは、様々な不足分を補うことができる親イスラエルネットワークの唯一のプレーヤーなのです。(⋯⋯)私たちには予算があり、様々なものをテーブルの上に用意することができます」。そして、彼女の言葉は脅迫的なものになった。「BDSと関わっているすべての者は、このように問い直さなければなりません。 “こちらの陣営かあちらの陣営、私はどちらを選ぶべきか?”」

 そうした情報収集活動の中で、ヴァクニン=ジル氏はこう認めた。「私たちにはFDDがあり、他の組織もまた(私たちのために)活動しています」。民主防衛財団(FDD)は近年、UAEとイスラエルの接近において重要な役割を果たしたネオコンのシンクタンクだ。昨年の夏、FDDはカタールとアルジャジーラを非難する運動に参加した。アルジャジーラは地域を不安定化させる手先だとして批判を受けている。だが、アメリカの法に従えば、外国政府のために活動する組織や個人は、そのような組織や個人として司法省に登録しなければならない。その手続きを行っていないFDDを、司法省は思い切って法廷に引きずり出せるだろうか?

 インターネットサイト“The Electronic Intifada”の運営者であるアリ・アブニマ氏はこう指摘する。「仮にロシアやイランの高官、あるいはカナダの高官であっても、彼らが自国が秘密裏にアメリカ市民に対してスパイ作戦を行っていると認めたり、そのためにアメリカの組織と偽っていることを認める内容の録音や録画をあなたが持っていたとしたら、それはもう大変なスキャンダルです!」。というのも、そうした協力活動はFDDに限ったものではないからだ。ベイム氏のように、クラインフェルドが話をした多くの人は、他人には決して漏らさないという約束の上でそのことを認めた。この話は「デリケート」であり、広げないほうがいい、と彼らは付け加えはしたが。

 このドキュメンタリーにはそれ以外の新事実もいくつか含まれている。たとえば、TIPがエルサレムでアメリカ人ジャーナリストを「丸抱えする」といったものだ(9)。彼らは現地を案内してもらうだけでなく、「そのまま使える」題材も手渡される。彼らはその話をアメリカでそのまま流すだけでよい。あるいはメディアや通信社に対しての、速報や記事を書き換えさせるための圧力もある。

 今日、イスラエルにとってすべてがうまくいっているように見えるが、アメリカのイスラエル支持者たちは多くの資金や手段を手にしているにもかかわらず、神経質になっている。彼らにとっても、彼らを最も支持しうる人々にとっても、未来は暗いのだ。ヴァクニン=ジル氏は次のように認めた。「私たちは2000年以後に生まれたユダヤ人世代を失いました。彼らの親たちが私のところへ来て、安息日の夕食時に子供たちとの間で直面している困難について説明してくれました。(最も若い世代は)イスラエル国家を認めず、私たちを尊敬すべき存在として見ていないのです」



  • (1) Lire Serge Halimi, « Le poids du lobby pro-israélien aux Etats-Unis », Le Monde diplomatique, août 1989.
  • (2) www.aljazeera.com/investigations/th...
  • (3) Cf. par exemple Richard Silverstein, « Israel lobby pressures Qatar to kill Al Jazeera documentary », Tikun Olam, 8 février 2018.
  • (4) Clayton Swisher, « We made a documentary exposing the “Israel lobby”. Why hasn’t it run ? », The Forward, New York, 8 mars 2018.
  • (5) Lire Akram Belkaïd, « Le Qatar ne cède rien », Le Monde diplomatique, mars 2018.
  • (6) John Mearsheimer et Stephen M. Walt, Le Lobby pro-israélien et la Politique étrangère américaine, La Découverte, Paris, 2009.
  • (7) 読者の大部分がユダヤ系アメリカ人であるThe Forwardは、カナリア・ミッションに関する調査記事を掲載した。また、イスラエルにやって来た「疑わしい」アメリカ市民 —— ユダヤ人であっても —— を尋問するために、イスラエル当局がカナリア・ミッションの情報を使用しているということも、その記事の中で言及された。 Josh Nathan-Kazis, « Canary Mission’s threat grows, from US campuses to the Israeli border », The Forward, 3 août 2018.
  • (8) https://canarymission.org/ex-canary
  • (9) Lire « Propagande et désinformation à l’israélienne » I et II, Nouvelles d’Orient, Les blogs du Diplo, 13 et 26 janvier 2010.

(ル・モンド・ディプロマティーク 仏語版2018年9月号より)