日本のナショナリズムにペンで立ち向かう小説家、大江健三郎

2012年10月26日(金)

[ブログ記事] マルティーヌ・ビュラール

訳:川端聡子


  東シナ海を舞台にして、挑発行動に挑発行動が続いている。夏は中国船とフィリピン船との睨み合いに終始した。夏が去って以降は海域東部で小競り合いが頻発している。日韓の間では、韓国名で「独島」、日本名で「竹島」と呼ばれる島を巡り衝突が起きている。日中間でも、「尖閣諸島」(日本名)あるいは「釣魚島」(中国名)と呼ばれる島を巡って衝突しているのだ。なぜこのような問題が再燃したのか。『ル・モンド・ディプロマティーク』次号11月号(10月28日発行)では、ステファニ・クライネ=アルブラントが一連の見解を示し、中国の戦略を説き明かしている。




 日本ではナショナリズムの高揚が国民の不安を煽っている――これには充分な根拠がある。東京都知事の石原慎太郎氏はナショナリズムの尖兵の一人だが、その彼が現職を辞して正式にナショナリスト政党を立ち上げるからだ。石原氏は日中間の対立再燃の火元となっている。今年8月、彼は尖閣諸島のうち3島の国有化を目指して募金を開始した。島の所有者である裕福な日本人実業家からの移転登記である。そして政府は公式にその言い分に追従したのだ。


 何人もの日本の知識人が、エスカレートするナショナリズムに心を痛めている。作家の村上春樹は朝日新聞第一面に掲載されたエッセイで、こうした緊張が中国との間に築かれた友好関係を萎縮させてしまうことを憂えている。彼はナショナリズムを安酒になぞらえ、このように記す。「それは安酒の酔いに似ている。安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。[中略]しかし、賑やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。そのような安酒を気前よく振る舞い、騒ぎを煽るタイプの政治家や論客に対して、我々は注意深くなくてはならない」。


 最後に、1994年にノーベル文学賞を受賞した小説家、大江健三郎ら有名知識人が名を連ねる「『領土問題』の悪循環を止めよう!――日本市民のアピール――」の声明文が発表された。10月26日金曜日に首相へ提出されるのを前に、すでに2000もの賛同署名が集まっている(10月22日現在)。これは近年まれに見る動員数である。


 以下は、その声明文である。


[このあと、次の声明文↓の仏訳が掲載されている――訳注]


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(ル・モンド・ディプロマティーク日本語・電 子版2012年10月号)